解説!ライフデザイン

アンテナを立て情報をつかみ、適切な方へ歩むための作業

立命館小学校 教諭
正頭 英和 氏

立命館小学教諭。大阪府出身。京都市公立中学校、立命館中学校高等学校を経て現職。
Minecraftを活用した授業が認められ、2019年のGlobal Teacher Prizelにおいて、世界150ヵ国以上、3万人のエントリーの中から、日本人小学校教員初となるTop10に選ばれ、「世界の優秀な教員10人」となる。その他には、桃鉄教育版のデュ底面とプロデューサーなどもつとめている。主な著書に「世界トップティーチャーが教える 子供の未来が変わる英語の教科書(講談社)などがある。」

ライフデザインにおいて何が重要でしょうか。

アンテナを立てていることが重要です。自分事として考えること。どのステージ、どの瞬間からでも大切で、できるだけ早い段階から考え始め、それを節目、節目で再考し、修正を繰り返すこと、だと思います。
ライフデザインにこれが正解というものはありません。時代が大きく変化する中で、定期的に手入れ、見直していかないといけない。
ライフデザインを行うことで、(自分自身に)アンテナが立ち、情報が入ってくるようになります。
たとえば、車を買う時をイメージしてみてください。車に詳しくなりますよね。ライフプランを立てることで、アンテナが立ち、情報が入ってきます。
いつから始めたらいいかといわれたら、「今日」という一番早い日です。

なにから始めたらいいかわからない、という人もいそうですが?

僕は「お金」から入ったらいいと思います。
学校の先生をやっていて、多くの卒業生を見てきましたが、大きく分けて悩みは3つだと思います。▽人間関係▽お金▽健康――です。いずれにも共通する対策は知識です。この3つを正しくとらえることが大事だと思います。
中でも、お金が難しいと思います。健康も知識をつけられるし、人間関係も対策の学びの機会がある。ただ、日本はお金に対しては触れてはいけないようなところがあり、学びに無頓着なところが多い。だからこそ、ライフプランをお金から入ってもらえれば、人間関係も健康も考えるようになるのではないでしょうか。
「お金持ちになりたいですか?」。小学校でこう尋ねれば、ほとんどの小学生が手を挙げますが、「お金持ちってどのぐらいのお金?」と聞くと、それは様々です。教育資金にどのぐらいかかるのかとか、日本人の平均年収はどのぐらいか、とか。さまざまな情報に触れ、自分の価値観に気づくことになります。

20-30歳代はライフイベントも多いが、働き盛りともいわれる

人生の価値観は多様化しています。
個人的には、バリバリ働きたければ経験をたくさんしないといけないということはあるかと思います。でも、「自分は休みたい」とか「家族との時間をもっと欲しい」ということであれば、それを目指したらいいと思います。
ですから、「働き盛り」も50歳代でいいと思います。キャリアも経験もあるし、50歳代が一番活躍できるんじゃないかと。年の瀬の音楽テレビ番組でも、50歳代のアーティストが登場し、注目されました。バリバリ働いています。昔と今では健康面も精神的な若さも圧倒的に違います。「30歳代が働き盛り」という昭和の発想を捨てていいのではないでしょうか。
ただ、50歳代になると体力は落ちます。そのためにも、健康を考えることが必要。私自身も40歳になって、運動のためにジムに通ったり、食事を見直したりしています。ライフプランを考えると、行動が変わります。

何歳ぐらいから、どのようにライフデザインに取り組めばいいですか?

「早めに触れる」ことは賛成です。ただ、「早めに固める」ことには反対です。
激動の時代なので、思い通りにいかないことは多い。だからと言って「今から考えても仕方がない」というのが、最も問題です。
すべてのライフデザインを描く必要はありません。人間関係か、お金か、健康か、3つのいずれかを入口にしたらいいと思います。
どんな人でも、これまでの経験を振り返った時に、この3つのどれかで困った経験があるはずです。今後、同じようなことが起きる可能性はあるか、起きたらどうするか。起きないようにするにはどうするか。考えることで、アンテナが立ちます。情報を適切につかみ取りながら、自分の人生を適切な方へ歩ませ続ける営み。
これがライフデザインだと思っています。