実例紹介

収支シミュレーションで考えるキャリア、暮らし、お金の話

実証事業者:ソニー生命保険株式会社

ポイント!

  • 人生設計を疑似体験し、収支シミュレーションを作成
  • 働き方や生き方、ライフイベントにまつわる「お金」について考え、対応力を高める
  • 企業従業員、地域住民、学生それぞれに対応したプログラム

ソニー生命保険株式会社は、学生、地域住民、企業従業員それぞれ向けにライフプランニングを疑似体験しながら収支シミュレーションで選択肢や改善策を提供するプログラムを実施した。働き方や生き方、ライフイベントによって変わりうるお金の話を中長期的な視点に立ちつつ、参加者に具体的にイメージし、考えてもらった。学生、地域住民向けにはグループワークを通じて実際にライフプランを考えてもらい、その改善までを体験した。企業従業員向けには個々の資産状況なども踏まえつつより具体的に考える内容とした。ライフイベントに対する前向きなとらえ方や、移住など地域で生活することへの意識の変化などがみられたという。

ソニー生命のライフプランニング体験プログラムの一例

将来の選択肢や計画次第で夢が実現できる体験

中高生や大学生向けに学校で実施した実証事業では、中長期的な視点で、将来の選択肢や目標の実現を叶えるためにはどうすべきかを生徒自らに考えてもらった。ライフイベントの経験が少ないため、グループワークで仮想の家族のライフプランを作り、イメージを醸成。「正解」のない多様なライフプランのあり方や、お金との向き合い方について理解を深める内容とした。「(生活費や資産形成など)社会人になってすぐに直面するのがお金の話。安易に決めるのではなく、選択肢を持っておくことが大事」と、学生と地域住民への実証事業を手がけたソニー生命の森下和登・社会貢献推進室長は説明する。地域住民向けには4自治体と連携し、6つのプログラムを実施した。一人親世帯や若者、移住者向けなど自治体ごとに講座内容をアレンジし、地域ごとの手当てや補助金、住宅事情や家賃相場なども加味した。森下さんは、「(都心で生まれ育った人が地方で暮らす)Iターンや移住など多様な暮らし方が増える中で、地域で暮らすことをより具体的にイメージしてもらうことで促進につながる可能性がある」と話す。

人材定着と従業員の幸福度向上に

企業では、賃上げの機運が高まる中、従業員のライフデザインを支援する大切さも広がりつつある。ソニー生命が企業向けに行った実証事業には、中小企業を中心に134社の従業員が参加した。社会人は学生向けなどと異なり、よりライフイベントに直面していることや収入など個人の資産状況にもかかわるため、グループワークでなく、ワークシートを使いながら参加者が自身のお金の使い方や暮らし方と向き合い、想定するライフデザインを疑似体験する内容とした。参加者からは「シミュレーションによってお金に対する漠然とした不安の払しょくにつながった」といった感想があるとともに、実証事業を受け入れた企業側からも「賃上げが厳しくても、従業員の資産形成をサポートする機会になる」と、離職防止や採用へのプラス効果を期待する声もあったという。企業向けプログラムを手がけたソニー生命法人戦略課の田中大地さんは、「人によって異なるお金の知識や情報の格差を埋めることで、(ライフデザインの選択肢が広がり、)幸福度の向上につながる」と話す。
ソニー生命は、25年度以降も、同様の取り組みを継続していく意向という。