実例紹介

若い世代が人生の選択肢を広げるためのセミナー

実証事業者:株式会社IBJ

ポイント!

  • 仕事や婚活・結婚、お金・住まいなど5つのカテゴリーにおける情報や選択肢を学ぶ
  • 5年後、10年後、20年後の希望を思い描き、何をすべきかを考える

結婚相談所ネットワーク大手の株式会社IBJは実証事業として、個人を対象にライフデザインでポイントとなる情報を提供し「選択肢」を学べるセミナーを開催した。婚活サービスなどを展開する同社グループの強みを生かし、結婚や出産、子育てなど様々なライフイベントを控える20歳代が選択肢を広げられるよう、仕事や婚活・結婚、お金・住まいなど5カテゴリーにわけて情報を提供。オンライン開催はメタバースを使い、参加者がアクションをとりながら積極的に取り組めるようにした。企業や自治体の担当者向けにもセミナーを設け、若い世代の傾向やほかの企業や自治体が取り入れる先行事例などを紹介。個人だけでなくその周りを取り巻く環境(企業等)が共に考えることの大切さを伝えた。

IBJが行ったセミナーの様子(左が対面、右がメタバースを活用した事例)

人生の選択肢を狭めないために

個人向けのセミナーには、企業5社の従業員170人余りが参加した。有識者への取材を取り入れたり、クイズ形式を取り入れたりして、「仕事」「婚活・結婚」「妊活・出産」「家事・育児」「お金・住まい」の5つのカテゴリーについてライフデザインをするうえでのポイントを紹介した。5年後、10年後、20年後の自分をイメージしてもらうワークシートは、社内での昇進や結婚のタイミング、子供を持つ時期だけでなく、実現に向けてやるべき行動や選択肢も書き込む。より具体的にそれぞれの未来を考えてもらうためという。実証事業を担当するIBJの森宏樹社長室長は「人口減少が進んでいるが、若い人の結婚に対する意識が後退しているわけでない。ライフデザインを通じ、行動するきっかけになれば」と話す。講習前後で、将来のキャリアや結婚に対する前向きな意見が増えたという。

企業、自治体からもニーズ

一方、企業の人事・総務担当や自治体関係者向けのセミナーでは、若い世代の結婚や出産に対する考え方を紹介した。朝方勤務や子育て支援策など先行事例の情報も伝える。自社社員向けにセミナーを取り入れた日本旅行の人事担当者は「働きがいを感じながら、個性を生かし働いてもらう時代。職場がライフの充実を後押しすることも、最終的には会社にもプラスになる」と語る。自治体向けでも「ライフデザインの設計をサポートすることで結婚したい若者の背中を押したいとの声もあった」と、森さん。
実証事業では、ライフデザインの定着に向けたポイントも見えた。セミナー直後には、受講前に比べて大きな意識変化がみられたものの、1ヶ月後の調査で意識の薄らぎもみられたという。IBJの担当者、岡野碧依さんは、「継続的な働きかけや並行した行動支援を行っていく必要がある」と振り返る。
同社は2025年度以降、自治体や学校などで地域に根ざしたライフデザインセミナーも強化していく計画という。