実例紹介

現在地と将来像の「見える化」で、前向き思考を後押し

実証事業者:株式会社リンクアンドモチベーション

ポイント!

株式会社リンクアンドモチベーションは、中高生、大学生、社会人の3段階向けにライフデザインをサポートする実証事業を行った。同社は、企業向けにキャリア形成の支援事業を展開しているほか、グループ内で学習塾や就活支援サービス、社会人向けには資格・スキル取得につながるリスキリングのサポート事業を展開している。実証事業ではこうしたグループ企業において、個人が自己理解を深め、目指す将来像に向けてどのようにライフデザインを作っていくべきかを学べるよう、座学やワークシート、オンラインを使ったグループワーク等を実施した。自身の現在地と将来像の「見える化」で今後取り組むべきことを具体化していくことで、講座の実施後には、就職やキャリア形成に加え、出産や子育てに対しても前向きな意見が増えるなど手ごたえがあったという。

リンクアンドモチベーションが中高生向けに展開するプログラムの概要(左)

世代ごとにきめ細かくサポート

働くことへの具体的なイメージがわきにくい中高生や大学生に対しては、自分自身を理解する自己認識とともに、社会人の話を聞くなどして働くことをイメージしてもらう講座を設けた。ワークシートで自分の現在地を捉えつつ、社会人になった時の自分を想像し、逆算して、取り組んでいる勉強や就職活動をより前向きにとらえられるよう、「今」と将来への「ライフデザイン」をつなぐサポートを行った。自分を株式会社に見立ててマーケティング手法でキャリア形成を考える「アイカンパニーセッション」では、自分の市場価値をどう高めていくかを考え、今の自分とやるべきことが見える化できるという。実証事業を担当した同社の齋藤拓郎さんは、「勉強は受験のため、就職は有名企業に入るためと思う人も多い。ライフデザインをしてもらうことで、自分のなりたい姿に向かい前向きに取り組めるようにしたい」と話す。将来像が浮かばない若い世代も多いが、自己理解を深めることで、「潜在的にもっている目指したい将来の姿を引き出すことにもつながる」と、齋藤さん。

社会人には2つのアプローチを実施

一方、社会人には、実証事業で2つのアプローチを試した。同社グループ内で資格やスキル取得をサポートするリンクアカデミーでは、ライフイベントにまつわる「お金」の話や資格、スキル取得によって拓ける将来像などを具体化するワークショップを提供した。

リンクアンドモチベーションのグループ内では、先輩社員の過去の業務やその振り返りを学習したAIに若手社員が相談できたり、上司や相談役に対面で助言を受けたりできる機会を設け、ライフとキャリアの両面を支援する実証を行った。また、週1回、心身の状況や仕事の充実度を計測し、効果を検証した。齋藤さんは、「若い世代を伴走してサポートすることで、将来に前向きな思考が生まれ、ライフデザインへの興味関心やウェルビーイングの向上といった結果も見えた」と話す。