実例紹介
主体的・自律的な選択でつくる、それぞれの納得“解”
実証事業者:株式会社リクルート
ポイント!
- 現在の自分の選択肢に基づく将来像を把握し、自律選択のきっかけを作る
- 将来を見える化するシミュレーションツール「人生ワゴン」
- 20歳代から増えるライフイベントに備え、様々な選択肢、支援の情報を提供
「ライフデザインセミナー」を主に大学や専門学校、高校で展開した。ライフイベントが集中しやすい20歳代以降を控えた10歳代後半から20歳代の学生を中心に、就活だけでなく、その先の結婚、出産、家庭も見据えて考えてもらう内容にした。講座では、リクルートブライダル総研が開発したライフデザインのシミュレーションツール「人生ワゴン」を活用した。受講者に将来像の具体的なイメージを持ってもらったうえで、多様化する働き方や暮らし、結婚するかしないか、家族の形態などについての参考情報を提供し、ライフデザインを考えるきっかけを得てもらう。参加者からは、講座の前後で、ライフとキャリア双方の充実やライフデザインを考えることの大切さについて認識の高まりがみられたという。

まっさらな自分のライフデザインを知る
この実証事業には大学や専門学校、高校15校のほか、企業2社の50人弱を含む1000人強が参加した。90分を基本に展開した講座では、情報提供の前にまず「人生ワゴン」というツールを使って各自のライフデザインを見える化する。その狙いを、ブライダル総研の落合渉所長は「まっさらな状態でシミュレーションを作ってもらうことで、現時点での自分自身の価値観を可視化し、それによって自分ごと化を加速させること」と明かす。自分で策定したライフデザインを手元に、ブライダル総研にて保有しているライフイベントにまつわる調査や、国の調査などから、日本人の平均的な選択だけでなく、多様なあり方を学ぶインプットワークを実施。国や自治体の補助や支援制度のほか、民間企業の家事や育児などの支援サービスの情報も提供し、「結婚や出産、親の介護といったライフイベントに備えて、いろいろな選択肢を知っておくことが重要」と、実証事業を手がけた山中亜紗子さん。実証事業の前後では、暮らしぶりと働きがいを両立して充実させることやライフデザインを作ることについて重要性を感じた人の割合が増えた。
30の質問から将来像を示すツール
講座の中核となるツール「人生ワゴン」は、「仕事」「結婚」「家族」「暮らし」「夢」の5つのカテゴリーで計30程度の質問を選択することで、ライフデザインの大きなイメージをつかむことができる。留学や専門を深めることも含め進学するのか、しないのか。結婚はするか、しないか。入籍せずパートナーと暮らす選択肢もある。回答者が思い描く選択の結果を、人生の時間の流れに合わせて画面上に示す。設問内容は、世代や属性に合わせて調整できるほか、ライフイベントにまつわる情報提供なども行う。10歳代後半から20歳代は、進学や就活、転職など目の前のイベントばかりに気が向きがちなところで、中長期的に考えてもらうためだ。山中さんは、「就活をとっても、仕事の内容だけでなく、思い描いている暮らしや家族像など価値観が大事だ。ライフデザインを考えるきっかけを学生時代から持ってもらいたい」と、語る。講座を取り入れた学校からも、「キャリア形成の話に比べ学校では教えづらいライフの側面の学びを補える」と好評だったという。