実例紹介
強みを生かした「ワーク」と「ライフ」のシナジーを提唱
実証事業者:株式会社パソナ
ポイント!
- 仕事と私生活の相乗効果を求める「ワークライフシナジー」を提唱
- ライフチャートを使い可視化し、アクションの優先順位を明確化
- セミナー後は個別相談で伴走サポートも
働く環境「ワーク」と、日常の暮らしと人生の「ライフ」との相乗効果を生み出す「ワークライフシナジー」を提唱する。株式会社パソナは実証事業で、30歳代以下の若手人材のほか、中年層やシニア層も含め120人余りを対象に、希望者は個別相談も行うかたちでオンラインセミナーを実施した。総合人材サービス会社の強みを生かし、働く人の多くが抱える不安や悩みを示しつつ、ワークとライフを循環させ相互に高め合うことでキャリア形成と私生活を豊かにできる気づきや生活者の主体的・自立的な選択の大切さを伝えた。セミナーでは多くの参加者で就労や学習に対する意欲、さらに健康への意識も高まり、変化が見られた。

専門家によるセミナーと対話
セミナーや個別相談は、パソナの認定資格「ワークライフファシリテーター」が務めた。同社が2016年から社員向けに始めたサポートで、ウェルビーイング経営の広がりや、ワークライフバランスに対する意識の高まりなどを踏まえ、有資格者の養成を続けてきた。今回の実証事業を担当したワークライフファシリテーターの中村敦子さんは、「人生はキャリアだけでは作れない、働く環境や暮らし、人生といったライフの部分も含めて、どのような時間を積み重ねたいのかが大事になる」と話す。セミナーでは、お金や健康、自分の成長・学び、対人関係、生活環境など各項目のチャートを作って自分の現在地を可視化。今後高めたい項目に優先順位をつけ、具体的な行動に移すための気づきを促した。また、過去の人生経験とともに、自身の課題に対する取り組み方と人とのかかわり方こそが、仕事でもいかせるポータブルスキルになるという。
継続的な取り組みの重要性
実証事業では、セミナーに続き、希望者に個別相談を設定したことも大きな成果となった。参加者からは「不安な点を再認識でき、向き合おうと思った」や「丁寧に日々の業務に取り組みたい」といった公私両面で前向きな声が寄せられた。実証事業の前後で行ったアンケートでも、仕事と私生活の両面を充実させることに対して意欲を示した人の割合が増え、意識変容が明確にみられ、行動変容においても個別相談にとどまらず、キャリアステップに向けた別のプログラムを活用する参加者もいたという。本事業を担当した水内桃江さんは、「もっとも、意識の変化に比べ、行動が根付くには時間がかかる。継続的な取り組みをサポートすることでより行動変容につながる期待がある」と話す。
また、キャリアアセット事業本部の西谷誠・本部長は今後の事業展開について、「法人向けの研修などでは、個社事情なども反映しながら、会員だけでなく幅広い法人向けのサービスとして対応を検討していきたい」と話す。